二八蕎麦と十割蕎麦は何が違う?つなぎの役割と「二八」の意外な由来
十割蕎麦と二八蕎麦。数字だけを見れば、十割のほうが上で、二八は少し妥協したものに思えるかもしれません。でも、蕎麦屋がわざわざ二八を選ぶのにも理由があります。
違いはそば粉の量だけでなく、麺のつながり方や食感にも関わります。さらに「二八」という名前を調べると、配合とは別の由来説まで出てきます。いつもの注文を少し詳しく見ていきましょう。
二八は八対二、十割はそば粉だけ
現在、二八蕎麦といえば、一般にそば粉八割、小麦粉二割で作る蕎麦を指します。十割蕎麦は、小麦粉などのつなぎを使わず、そば粉だけで作ります。
ここでいう割合は、粉の配合についての数字です。完成した麺の重さの八割がそば粉、残り二割が小麦粉、という意味ではありません。実際の麺には水分も含まれます。
十割を「生粉打ち」と書くお店もあります。読み方は「きこうち」。初めて見ると分かりにくいですが、品書きで十割を探すときの手がかりになります。
小麦粉は、単に量を増やすためではない
小麦粉に水を加えてこねると、たんぱく質によるグルテンの構造ができます。伸びや弾力のある生地を作る働きがあり、麺をつなげやすくします。
そば粉には、小麦粉と同じようにグルテンを作る仕組みがありません。そのため、そば粉だけの生地は、水の回り方や扱い方の影響を受けやすくなります。二割の小麦粉を加えることには、作業を助けるだけでなく、狙った口当たりや喉ごしに近づける意味もあります。
もちろん、粉や作り方によって仕上がりはさまざまです。「二八なら必ずつるつる」「十割なら必ずボソボソ」と分けることはできません。十割でもなめらかな麺はありますし、二八でもしっかり噛んで楽しむ蕎麦はあります。
「二八」は、もともと値段だったという説もある
二八の名前には、そば粉と小麦粉の配合から来たという説のほか、「二かける八は十六」で、一杯十六文の値段を表したという説があります。
由来については議論があり、一つに断定できません。昔の記録に出てくる「二八」を、そのまま現在の八対二の配合だと読み替えられるとも限らないのです。
ただ、今お店で食べる二八の説明と、名前が生まれた歴史は別に考えられます。現在の料理としては配合を確かめればよく、由来は「価格の呼び名だった可能性もある」と楽しむくらいがちょうどよさそうです。
「外二」は、二割より少し小麦粉が少ない
もう一つ、品書きで出会うと面白い言葉が「外二」です。そば粉を十として、そこへ小麦粉を二加える配合を指します。
粉の合計は十二なので、そば粉の割合は十÷十二で約八三・三%。八対二の二八は八〇%ですから、外二のほうがそば粉の比率は少し高くなります。「二割」という言葉でも、何を基準に計算するかで数字が変わるんですね。
だからといって、この約三%の違いだけで味の優劣が決まるわけではありません。配合を知るのは面白いですが、それをそのまま採点表にしないほうが、食べる楽しみは広がります。
香りの違いは、割合だけでは説明できない
同じ十割でも、白い更科系と濃い色の田舎系では印象が違います。どの部分の粉を使うか、粒の大きさ、産地や保存状態、麺の太さでも風味は変わります。
別々のお店で食べた二八と十割を比べて、違いをすべて配合のせいにするのは難しいところです。二八のほうが香りを強く感じたとしても、不思議ではありません。
食べ比べをするなら、同じお店で両方を頼めると、つゆや提供の条件が近くなります。粉まで同じとは限りませんが、何が違うのかお店の説明を聞きながら食べると、感想が具体的になります。
選ぶ基準は「十割が上」より、好きな食感
最初は少量をそのまま食べ、次につゆを合わせてみてください。香りだけでなく、口に入れたときのなめらかさ、噛み切るときの感触、つゆとの相性にも注目してみましょう。
気に入ったら「十割がおいしかった」だけでなく、「細くてなめらか」「太めで噛みごたえがあった」と覚えておくと、次のお店でも好みを探しやすくなります。
なお、小麦を避ける必要がある人は、十割でもつゆや調理中の混入を確認してください。二八か十割かを知ることは大切ですが、おいしさも安全性も、数字一つだけで分かるわけではありません。