蕎麦湯はなぜ白い?とろみの違い、昔の飲み方、栄養の気になる話
蕎麦を食べ終えるころに出てくる蕎麦湯。さらっと透明に近い日もあれば、白くてとろとろのお店もあります。同じ「茹で汁」のはずなのに、どうしてこんなに違うのでしょう。
栄養があるから飲むもの、という説明もよく聞きますが、それだけでは濃さの違いや楽しみ方は分かりません。蕎麦湯の中身と、飲まれてきた背景から見てみましょう。
白さは、麺から出る成分と粉に関係する
蕎麦湯は基本的には、蕎麦を茹でたお湯です。茹でている間に、でんぷんなどの成分や、麺の表面についていた粉がお湯に移ります。そのため、何も入れていないお湯とは違う濁りやとろみが出ます。
同じ釜で何度も蕎麦を茹でれば、お湯の状態は変わります。ただ、お湯を足す量や入れ替えるタイミングも店によって違うので、「遅い時間に行けば必ず濃い」と決めつけることはできません。
使う粉や麺の種類にも違いがあります。見た目だけを比べて、白い店ほどよい蕎麦を使っている、と判断できるものではないんですね。
とろとろの蕎麦湯は、別に用意していることも
お店によっては、そば粉を加えるなどして、蕎麦湯を別に作っています。茹で釜から取ったお湯を出す場合とは、濃さや口当たりが違って当然です。
これを「本物ではない」と考える必要はありません。食事の最後にどんな味を出すか、店ごとに工夫している部分です。濃いものは粉の風味やとろみを楽しみやすく、さらっとしたものはつゆを割ったときに飲みやすい、という好みの違いもあります。
同じ種類の蕎麦を食べた店同士でも、蕎麦湯の印象は違うかもしれません。「麺は細め、蕎麦湯はさらっと」など、別々に覚えておくと面白いですよ。
昔の人も、蕎麦を食べたあとに飲んでいた
蕎麦湯は、近年の健康ブームで始まった飲み物ではありません。江戸時代の食物についての書物『本朝食鑑』にも、蕎麦を煮た後のお湯を飲む習慣についての記述があります。
当時は体調との関わりも語られていました。ただし、昔の書物に効能が書かれていることと、現代の医学で効果が確かめられていることは別です。古い説明を、そのまま現在の健康情報として受け取ることはできません。
それでも、麺を食べた後にその茹で湯まで飲む習慣が長く続いてきたのは興味深いところです。食事の途中ではなく、最後に出てくる一杯にも歴史があります。
白く濃いほど、栄養が多いとは言い切れない
蕎麦の成分の一部が茹で湯へ移るのは確かですが、どの成分がどの程度含まれるかは、粉、茹で方、お湯の量などで変わります。濁りを見ただけで、ビタミンや特定の成分の量まで分かるわけではありません。
蕎麦といえばルチンという成分の名前も聞きますが、麺や粉についての話を、そのまま目の前の蕎麦湯一杯の効果へ結びつけないことが大切です。家庭の一束分の茹で湯と、お店で用意する蕎麦湯も、同じ条件ではありません。
「飲まないと栄養を損する」「たくさん飲めば体によい」と無理をする必要はありません。まずは風味のある飲み物として、好みの量を楽しむのが自然だと思います。
おいしく飲むには、つゆを少しだけ使う
残ったつゆが多いと、蕎麦湯を足しても濃くなりがちです。別の器があれば、少量のつゆを取ってから蕎麦湯を加えると、調整しやすくなります。
まず少し加えて味を見て、もう少し薄めたいと思ったら足す。そのまま飲める蕎麦湯なら、つゆを入れる前に少し味わうと、粉の風味とつゆの味を分けて楽しめます。熱いので、一口目は慎重に。
わさびをたくさん溶いたつゆと、薬味を入れていないつゆでも印象は違います。蕎麦湯を楽しみにしているなら、食べている途中からつゆを分けておくのも一つの方法です。
薄めても、塩分の総量は減らない
つゆに蕎麦湯を加えると、一口当たりの濃さは薄まります。でも、元のつゆを全部飲むなら、そこに含まれる塩分も全部摂ることになります。これはお湯の量を増やしても変わりません。
家で作るときは、商品の案内も確認しましょう。食塩を含む乾麺では、茹で汁にも塩分が移ります。蕎麦湯として飲むことを想定した商品か、説明を見て選ぶのが安心です。
さらっとした一杯にも、とろみのある一杯にも、それぞれの作り方があります。次に出てきたら、濃さを優劣にせず、香りと口当たり、つゆを足したときの違いを確かめてみてください。