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2026-09-27 · 基礎知識 公式

「石臼挽き」の蕎麦は何が違う?粉の細かさと香りを決める製粉の話

読みもの

蕎麦屋の看板や乾麺の袋にある「石臼挽き」の文字。なんとなくおいしそうだと感じますが、何が違うのか聞かれると、説明は案外難しいものです。

石臼で挽くことは、飾りの言葉ではありません。ただし、その一言だけで、蕎麦の味がすべて決まるわけでもありません。実が粉になるまでを知ると、いつもの一枚を少し違う目で見られます。

石臼は、重い石で押しつぶすだけではない

石臼は、上下の石の間へ原料を入れ、回転させながら細かくする道具です。向かい合う面には溝や細かな凹凸があり、実を砕き、できた粉を外へ送り出します。

ここで大切なのは、石の重さだけではなく、目の状態や回転の速さ、原料を入れる量など。石臼さえあれば、いつでも同じ粉になるというわけではありません。同じ機械でも条件を変えれば、出来上がる粉の性質は変わります。

お店の入口で臼が回っていたら、ただ昔ながらの道具だと思うより、「この店は、粉を作るところから調整しているのか」と見ると面白くなります。

ゆっくり挽くことと、熱の関係

製粉では、実を砕くときに摩擦などによる熱が生じます。石臼挽きは、ゆっくり回転させ、温度の上昇を抑えながら製粉できることが、風味を保つうえでの特徴として挙げられます。

ただし、「石なら熱がまったく出ない」「遅ければ遅いほどおいしい」という意味ではありません。原料の状態や臼の扱い方、挽いた後の保管も関わります。熱の管理は、いくつもある条件の一つです。

手間のかかる方法という説明だけで終わらせず、何を守るための手間なのかまで知ると、「石臼挽き」の文字が少し具体的になります。

もう一つの方法、ロール挽き

そば粉は、金属製のロールの間に原料を通して挽く方法でも作られます。段階的に砕いてふるい分けることで、粉の粒の大きさや色合いを調整しやすく、安定した粉を作れることが特徴です。

ロール挽きと聞くと、効率だけを優先したものに感じるかもしれません。でも、細かさがそろった粉は、麺のつながりや口当たりを考えるうえでも役立ちます。白い粉を取り出すことも、狙った性質の粉を作ることも、製粉の技術です。

石臼かロールかを、そのまま高級品と普及品の区別にするのは少しもったいない。目指す蕎麦に合わせて、粉の作り方を選んでいると考えるほうが、食べ比べの幅が広がります。

「石臼挽き」と「粗挽き」は、別の説明

ここは混同しやすいところです。石臼挽きは使う道具や製粉方法の話。粗挽きは、粉の粒の大きさに関わる話です。石臼で挽いた粉が、すべて同じ粗さになるわけではありません。

さらに、細かな粒と粗い粒がどのくらい混じっているかも違います。砂糖を思い浮かべると、細かな粉と粒の残るものでは触った感じが違いますよね。そば粉でも、粒の大きさの違いは生地の扱いや口当たりを考える手がかりになります。

麺に黒い点が見えることと、全体の粉が粗いことも同じではありません。見える点だけを頼りに、製粉方法を言い当てようとしなくて大丈夫です。

十割・自家製粉・石臼挽きは、それぞれ別の情報

十割は粉の配合、自家製粉は店で粉を挽いていること、石臼挽きは製粉の方法です。「自家製粉の石臼挽き二八そば」もあれば、製粉所の粉を使った十割蕎麦もあります。

看板の言葉が多いと、全部がおいしさの点数のように見えてしまいますが、実際には違う工程の説明です。配合、粉の作り方、麺の作り方を分けて読むと、その店がどこに工夫をしているか見えてきます。

食べるときは、難しい香りの名前を探すより、「なめらか」「粒の感じが残る」「噛むと印象が変わる」くらいの言葉で十分。できればつゆをつける前と後で比べると、自分が好きなのは粉の風味なのか、食感なのかも考えやすくなります。

次に気に入った蕎麦に出会ったら、産地や十割かどうかに加えて、挽き方も少し聞いてみてください。同じ実でも、粉にする段階から店の選択が始まっています。

— 記・蕎麦乃助
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